休学経験者が当時の経験や考えを語る共同ブログ
うつ病で休学するまで 最終回 【極限状態の中で思ったこと】
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前々回の記事→うつ病で休学するまで 【大学二回生その1 学生生活】
前回の記事→うつ病で休学するまでその2【大学二回生その2 悩みまくる、無理する】

※注意
今回の記事では多少過激な表現が出てきますが、あえてそのまま載せたいと思います。
今回の記事は他に比べ長いです。ご了承ください。

【初めに】

こんにちは、NXiです。
今回の記事も前回の続きですので、前回の記事を読んでから読んでもらえると幸いです。

大学三回生の5月、僕はやっと休学しました。
前々回の記事で、
たとえ将来何があろうと、就活等で不利になろうと、
当時の自分には、ゆっくりする、考える時間が必要だったのだと思います。
と書きましたが、

何故自分にはゆっくりする、考える時間が必要だったのかと言うと、
「自分の体も心も限界だ」と感じたからです。
生きるために、休学するしかなかったのかもしれません。

そんなしんどかった当時のことを振り返りながら書いていきたいです。
 

【調子いい、悪いを繰り返して】

4月、大学が始まりました。
メンタルが不安定で調子が悪いまま、3月を終えたのですが、学校が始まった途端、急に
「やばい、今の俺なら何でもできるんじゃないか?」ってくらいに元気になりました。
こんだけ元気なら、休学しなくてもやっていけるだろうとも思いました。

しかし、3回生から始まるゼミの授業が始まった途端、 
体調が急変しました。
心臓が鷲掴みにされているような、キリキリと痛むような、そんな感覚に襲われました。

他にも、異常なほど他人が気になったり、しんどくなったり、ちょっとしたことで物凄く落ち込んだり、
被害妄想が激しくなったり、教授の話が半分以上聞けなかったり、酷い時は文字が読めないなどの状態に陥りました。

僕の身体の調子やメンタルには波があるのですが、元気なときは波の上の方だっただけで、不安定なのは変わっていませんでした。

そんな感じで調子いい、悪いを繰り返して、徐々に大学に行かなくなっていきました。
 

【夢のようなお誘い】

そんなとき、当時良く悩みを聞いてもらっていた教授に、
僕の大学でも働いた経験のある、とあるカウンセラーの方を紹介していただきました。
その方に自分の状態や現状を話すと、
「心身ともに疲れ切っているから、休学してゆっくりした方がいい」
と言われました。

そしてさらに、
「私のところはカウンセリングの他にも、不登校の子どもが集まるフリースクールも経営しているのだが、よかったら休学中、無理のない範囲でそこでバイトしないか?ちょうどスタッフが一人欲しかったところなんだ」
と誘われました。
※フリースクールについてはこちら 
(日本では定義が曖昧ですが、今のところ不登校の子どもが集まる場所みたいな感じで使われることが多いです)

正直言って、こんなに都合のいい話があるのかと自分の耳を疑いました。
なぜなら、不登校児支援のボランティアをしているときから、一度フリースクールのような場所で働いてみたいと考えていたからです。

それに休学中、少しでもやること、外に出る機会ができるので、
引きこもって余計しんどくなってしまうのでは、という心配もなくなります。

このお誘いで9割方、休学しよう、休学したいと思いました。
 
しかしまだ踏み切れませんでした。

本当にこの選択でいいのか?
将来とか大丈夫なのか?
そもそもこんな都合のいい話があるのか?

そんなことを考えてしまって、やっぱり不安でした。
(こんな都合のいい話があったし、後にここで働かせてもらうことになるのですが)
 

【混乱、限界点】

そんな休学に関するいろんな悩み、不安を抱え、大学の生徒相談室のカウンセリングに相談に行きました。
この時点で半年以上生徒相談室には通っていたので、それなりに話せるようにはなっていたし、休学についてもずいぶん前から相談していました。
そして休学に関しては「休学してもいいんじゃないかなー」という、肯定的な答えももらっていました。

その時は、自分の現状や状態、休学したいこと、でも悩んでいること、教授から紹介されて働き口も見つかったこと、そんな希望が生まれたこと、それがとても嬉しかったことなどを話しました。

いろんなことを話して、カウンセラーから返ってきた言葉は、
「それ、詐欺じゃないの?」
という言葉でした。

僕のこの話を聞いた人は絶対にそう感じると思います。
自分自身そう感じたし、都合が良すぎるし、
聞いた話ですが、休学生や生きづらさを抱えた学生をターゲットに、「うちのサービスを利用したら元気になれるよ!」といった甘い話を持ちかけ、しょうもない商品、サービスを売りつけ、多額の料金を請求するといった詐欺が実際にあるそうです。

でも今回は、教授から紹介された人であること、実際に同じ大学の先輩がそこで働いていること、昔自分の通っている大学で働いていた経験のある方であるということから、信頼できるのではないか、このカウンセラーの方も知っているのではないかと思っていました。

いや、思いたかった。せっかく生まれた希望が潰されたくなかった、
それに、この人ならわかってくれるんじゃないか、
そんな思いもありました。

そんな気持ちもあって、その人が詐欺師ではないことを必死に伝えようとしました。
教授からの紹介であること 
大学の先輩もその人のもとで働いていること
昔この大学でも働いていたことのあること
しっかりとした経歴をお持ちの方であること
その方の著書もたくさんあり、大学図書館にも置かれていることなど・・・

しかし、全て聞き流されました。
「そんな人が働いていたなんてことは知らない、そして経歴なんかいくらでも偽造できるし、詐欺ではよくあることじゃないかな?」
そう、鼻で笑う感じで言われました。

ますます訳が分からなくなりました。

信頼できる教授が紹介してくださった人で、年代が違うから知らないのは無理がないとしても、昔この大学で働いた経験もあって、信頼できる経歴もあって・・・
なのに、どうして、という混乱にも似た気持ちになりました。

その後も
「そんな人に関わっていたら、僕と一緒に歩んできた半年間が無駄になってしまう」
「結局ね、できない自分を受け入れて、頑張らずに無理のない範囲でやっていくしかないんだよ」
「休学なんてしない方がいい、それで君が本当になりたい自分になれる可能性が少なすぎる」
そんな言葉をかけ続けられました。

得体の知れない人物から学生を守らなければならない、そんな善意からの言葉だったのかもしれませんが、
今まで自分を肯定してくれていた分、凄く辛かったし、当時の自分には受け止めることができない言葉、現実でもありました。


「なんで今頃否定するの?今まで肯定してくれてたのに」
「あの人が言った言葉は、みんな嘘なの?僕を騙すためにやっているの?」
「じゃああの人を紹介してくださった教授も僕を騙しているの?あそこで働いている先輩もみんな、詐欺グループの一員なの?僕を騙そうとしているの?」
「たくさんある著書や経歴はみんな嘘なの?昔この大学で働いていたっていうことも嘘なの?」
「何を、誰を、信じたらいいの?」

頭の中でそんな言葉が飛び交い、さらにわけがわからなくなっていき、言葉が出なくなっていきました。
そして、半分呆れたような顔で、目の前のカウンセラーはこう言いました。

「あのね、楽して元気になれる道なんてないんだよ。そういうのはだいたい詐欺だったり間違った道だったりする。
残念だけど、現実を受け入れて、できない自分を受け入れて、苦しい思いをしながらね、一歩ずつ歩んでいくしかないんだよ。
だから休学なんて絶対にしない方がいい、そんな信用できない人間のところに君を送るわけにはいかない。」

・・・正論です。
でも当時の自分には、ただ一つの希望に縋っていたボロボロな自分には受け止められない言葉でもありました。
そして、やっと生まれた希望が消え去ったような気もしました。

・・・その言葉を聞いたとき、自分の中で何かが外れました。
頭の中が混乱し、絶望感、虚無感、諦め、怒り、悲しみ、そんなもので埋め尽くされていく感じがしました。

・・・そしてほとんど無意識に、棚にあった本を手に取り、その本で自分を叩いていました。
 

【壊れていく自分と世界、そして休学へ】

「自分は人間の失敗作、出来損ない」
「今までもこれからも、不幸な出来事しかないんだ」
「自分の人生なんてもうとっくに終わってる」
「自分なんて、初めからいない方がよかった」
「じゃあ自分も他人も人間関係も将来も何もかも、壊れてしまえ、みんな壊してしまえ」

そんな言葉が次々に頭に浮かびました。
何もかもがわからない、誰が何を言っているのかがわからない、誰も信じられない、もう何もない、そんな状態で、
自分で自分を傷つけていました。

カウンセラーが止めに入りました。
しかしそれを押しのけ、何かを叫びながらカウンセラーまで殴り、本で叩きました。

「どんなにしんどくても、やっていいことと悪いことがある」

そんなことを言っていた気がします。
しかしそのときの僕にとっては、「そんなこと知ったことか」といった感じでした。
むしろ、自分のしていることが「やって悪いこと」だからやっていた、そんな感じがありました。

自分やカウンセラーを殴る、叩くたびに、自分の心が殴られる、叩かれる、
自分が壊れていく、自分の関係、未来が壊れていくような感触がありました。
それがとても悲しくて、痛くて、どこか気持ちよくて・・・やめられませんでした。 

自分を、カウンセラーを傷つけるだけでは収まらず、部屋にあるものを全てめちゃくちゃにして、壊していました。
本棚にある本を片っ端からカウンセラーに向かって投げていました。いすやテーブル、植木鉢など、そんなものを蹴ったり投げ飛ばしたりしていました。

やがて別の事務員の方が数人やってきて、僕を押さえつけました。
それでも、何かを壊すことをやめませんでした。

それくらい、自分も周りも何もかも、壊してしまいたかった。
みんなみんな、壊してしまいたかった。
・・・自分が全てを、何もかもを壊したくなるくらい、終わらせた方がましだと思うくらい苦しくて、辛いことを知ってもらいたかった。

事務員の人たちに暴れる手足を押さえつけられて、叫ぶ口も塞がれて、何もできなくなり、
頭の中が絶望感で埋め尽くされていきました。

「もう無理だ、限界だ。どうしようもない
こんなダメな自分、人間の失敗作なんていない方がいい、自分なんて最初から生まれてこなかった方がよかったんだ。 

僕さ、結構頑張ったよね?必死に頑張って生きてたよね?
いじめとか、人間関係とか、不登校からの大学受験とか、これまでの大学生活とか
でもどうにもならなかった、どうすることもできなかった。どうにもならないんだ。

 
・・・もう疲れた。
何もかも終わってほしい。全て消えてほしい、自分が生きてきた証を全て消したい
この世から消えたい・・・死にたい」
 
全てがぐちゃぐちゃになっていく、狂乱、極限状態で意識が薄れていく、世界が歪んでいく中で
そんなことを思いました。

しかし、
一方で、こんなことも思いました。

「これだけ心身ともにボロボロな今、
これ以上学校に通ったりして頑張ったら、自分の体や心が本当に壊れてしまう、本当に死んでしまう
今の状態で通ったとしても、不安定で、人とずっと壁を作って、怖がって、半分死んだような状態で生きることになる

・・・そんな人生は嫌だ

たとえ将来が不安定になっても、一年間遅れても、就活で不利になっても、休学して良くなる保証がなくても、人間関係が壊れるかもしれなくても、変な目で見られるかもしれなくても、今は一旦休むしかない、
その可能性に賭けるしかない

生きたい、人と繋がりたい、自分が満足する人生を歩みたい」


一通り暴れつくした僕は力尽き、ぐったりと倒れこみました。
そして大学からの連絡を受け、やってきた両親に連れられて、家に帰りました。

そして5月、僕はやっと、休学しました。
休学のための書類を出したのは、書類提出の締切当日でした。

休学のための書類を出した途端に、体と心がすっと軽くなるのを感じました。

いろんな「やらないといけないこと」「頑張らないといけないこと」から、少なくとも一年間は解放されたからです。
先は見えませんでしたが、一年間は大学を休めて、自分の自由に、好きなことをして過ごすことができるからです。

そして、僕の休学生活が始まりました 

 

【あとがき】

 

ちょうど一年ほど前に、この出来事が起こりました。
当時は本当にしんどくて、辛くて、未来が見えなくて、周囲の人間みんなが自分を嫌っているように感じて、自分の存在価値がわからなくて、苦しかったなあと思います。

でも、一年たった今も、僕も生きています。

たまにしんどくなるときはありますが、
一年前では考えられないくらいに元気に、日々を楽しみながら生きています。

休学して良かったこと、得たことはたくさんあります。
でもとりあえず、今こうして元気に生きれるようになったこと。
それだけで、踏み切って休学して良かったなと感じます。

留学もしていませんし、企業にインターンして社会を生き抜くビジネススキルを磨いたわけでもないです。
休学して自分が得たものなんて、周りの人から見ると本当に些細なものなのかもしれません。
それでも、僕にとってはとても大きくて、大事なものなんです。

もし今、大学に行くのがしんどくて、消えたくなるくらい苦しいのであれば、
一旦休んだり、逃げたり、引きこもったり、ずっと寝ていたりするのも、選択肢としてありなんじゃないかなと思います。

休む、逃げることってマイナスのイメージが強いかもしれませんが、
疲れたら休憩するのって当たり前ですし、
無理をして自分を追い詰めたり、自分を壊してしまったり、苦しめてしまったりするよりは何倍もいいことだと思います。

また、信じられないかもしれませんし、僕も信じることができなかったのですが、
人生って、人って、将来どうなるかとか本当に誰にもわからないんですよね。

今はしんどくても、ちっぽけな存在でも、一年後にはそうじゃなかったりすることって結構あると思うんです。
そして人生は、ちょっとしたきっかけでどん底に落ちることもあれば、ちょっとしたきっかけで好転することもあると思うんです。 

だからもし、今苦しくて、この上なく痛くて辛くて、絶望しか見えない人がいたとしたら、
そのときは休んでも、逃げても、引きこもっても、何もしなくても、世の中を憎んでも、人に迷惑をかけても、何でもいいから、
生きることを、やめてほしくないと願います。

 
今は真っ暗で何も見えなくても、苦しくて辛くてしんどくても、
「生きていて、よかった」
そう思える未来が、ちゃんと待っていてくれていると思うんです。

  

僕にも、この記事を読んでいる皆様にも、そんな日が来ることを、幸せな未来が来ることを、願います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました

 

 

次回記事:うつ病からの超自由な休学生活

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NXi

NXi

1992年生まれ 2011年春、関西の某大学入学、 2013年春 休学 2016年春 卒業予定 心身ともにボロボロだった自分が休学しようと思った理由。 病気や体調が原因で休学したときにやってみるといいこと。 しんどいときの対処法。 自分が休学生活でやってきたこと、得たもの、大切にした方がいいと思うもの。 休学を終えて、これからやりたいなと思うもの 。 などを書かせていただこうと思います。 旅行やスポーツも好きだけど基本インドア派です 今は読書にはまっております^^ ※アイコンは漫画家の藤原ここあさんがブログにて配布しているフリーアイコンを使わせていただいてます。
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