休学経験者が当時の経験や考えを語る共同ブログ
医学生が1年間でアフリカ大陸を1周:井口あきら(寄稿)
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はじめまして。秋田で医学科生をしてます、井口あきらという者です。
2011年3月より約300日間、大学を休学し主にアフリカ大陸でフラフラしてきました。

この度、休活ブログ運営の方から僕自身の休学体験を寄稿させてもらうチャンスを頂きました。学科柄、あまり一般に参考になるものではないかもしれませんが、ひとつの物語として眺めて頂ければ幸いです。

 
 

<僕の「休学」>

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「一年間でアフリカ大陸を一周」

これが出国前の僕の予定であり、目的だった。

結論から言えばモロッコ、エジプト、スーダン、エチオピア、ケニア、タンザニア、マラウィ、ザンビア、ナミビア、南アフリカ、という北・東・南アフリカ地域のたった10カ国で時間も予算も使い切ってしまい、「半周」という半人前の自分にはなんとも「らしい」結果に終わった。

 
 

「旅に出よう」

そう思った最初のキッカケは高校2年のインドでのバックパッカー経験だった。
夏休みを使った、たった3週間という短い旅だったが、そこでの経験は自分の人生に大きく、広く、そして深く還元された。
医師を志したのもこの頃からだったし、何より純粋に旅が楽しいものだと知った。

そして、決定的だったのは大学入学からの一年間の閉塞感だ。
高校の延長戦上のような、良くも悪くも自己完結したぬるま湯空間。
決して居心地が悪い訳ではなかったが、もどかしさは日に日に積もった。
 
 

「ホントにオマエは医者になりたいのか?」

そんな自問自答を繰り返し続けた。
このままでは「なんとなく」の惰性に流されてしまう、そんな焦りもあって二年次の一年の休学を申請した。

行き先は「アフリカ大陸」と決めた。
物理的にも精神的にも日本と遠く離れたこの地で、自分を叩き直してやろうと思ったからだ。
何より、「アフリカ」という言葉の持つ未知さにロマンに強く惹かれた。

 

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基本的に旅中は何かを自分に課すことはしなかった。
日がな安宿に籠って天井を見つめる日もあれば、テントと食料を担いで砂漠のど真ん中で野宿した日もあった。

5895mのアフリカ最高峰に足跡を残し、シナイ半島の美しいビーチでは水深30mから太陽を見上げた。
サハラ砂漠では生まれて初めて目にした巨大な砂嵐に戦慄し、ナミビアからは永遠に南へと続く一本道では自転車を漕ぎ続けた。
計45日滞在したケニアでは現地で活躍される日本人の方々に積極的にお話を伺い、幸運な事に今なお師と尊敬する医師にも出会うことができた。
 

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風に行先を尋ね、良いニオイのする方へフラフラ赴く。
そんな日々は正に、自分の求めていた行雲流水のさすらいで、それは生々しい程リアルな「生きている心地」と、「普通」の生活を選択していてはおおよそ得られなかった経験を伴った。

何処へ行こうと何をしようと、嫌が応にも自分自身と向き合う時間だけは腐る程あった。
ある時、ストンと腑に落ちる心があり、医師になる決意が固まった。
自分の内側から湧き出し溢れるシンプルなモチベーション、そんな枯れない確かなものを、僕は旅路の果てに見つけられた。
 

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<「休学」に思うコト>

僕は「休学×旅」を選択したが、人生にギャップイヤーを設けること、ましてや海外へ行くことは当然義務ではない。
それ自体は単にこの長い人生を充実させ得る要素の一つであるだけで、旅してないけどクソおもしろい人間もいれば、旅していたけどクソつまらない人間もいる。
休学して多彩な経験を積んだからといって、「普通」や「なんとなく」といった生き方を批判したり小馬鹿にするのは違う、と僕は思う。
 

ただそれと同時に、「休学」という選択肢がもっと身近になっていいんじゃあないか、という思いもある。

 

旅中出会った学生の大半は都市圏の私立学生で、国立大生や地方学生、ましては医学生なんてのはものすごく少なかった。

大学生にとって、休学は有意義な「寄り道」足り得ると僕は思う。
一年間遊びまくるのも良いだろう。意識を高く保ち真面目にインターンするだけが使い方じゃないはずだ。
いずれにせよ、それが何かを為す大きなチャンスであることには間違いない。

明確なビジョンや将来設計がないのなら、ちょこっと「寄り道」してみるのはどうだろうか。
今風の啓発本に酔いしれて、酒の席でデッカいコト語って、そんな自分に陶酔して、そんなことにどれほど意味があるだろうか。
いつか自分の子供にドヤ顔で語れる武勇伝の一つ二つ、あってもいいんじゃないだろうか。

 
 

「やりたいことがない」「特に興味あることもない」という声を聞くことがある。

事実、僕の在籍する医学科に於いても心から医師になりたい人間は一握りだ。

僕個人は、一生に一度は旅するべきじゃないか、と思っている。
自分の生きる力を試す経験云々を言い出す以前に、格安航空券がボタン一つで手に入るこんな飛行機使い放題時代に旅しないのは、些か勿体ない。

「やりたいこと」や「興味あること」が無いだけならいいが、そんな現状に不満を抱いている人がもしいるなら、そんな人にこそ旅を勧めたい。
自分探しをしろ、と言う訳ではない。
ただ、旅の途中で見つかる自分は、嫌でも沢山あるはずで、気づけば自分の手の中にモノサシが一つ増えているはずだ。

何より、「あそこの町は良かったなァ」なんて思い出せる場所があることは実に幸せなことだと、僕は思う。
世界は想像以上にワクワクで満ちてる。
 
 

井口 明
twitter:@iguchiakira
facebook:akira iguchi
blog:DOCTORinEMBRYO
 
 

<休活ブログにコメント>

akira7休学経験者である大学生による「休学のススメ」、スゴくオモシロい。
それこそ僕のような地方学生にとって、休学経験者や、ましてや休学の選択肢を示唆してくれるようなイベントなり人脈なりは身の回りに少ない。
よって必然的に敷居は高いし、そもそもその可能性を知らない学生も多い。
だからこそ、ウェブ上でメンバー各々の感性で綴られた経験談と思想は、至極有意義であるように思う。
願わくば、地方でのイベントなんかもして頂けたら、なんて。(笑)
 
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