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10月、9時寝5時起、野菜生活【ヒンドゥー教のお寺でヨガ】
今回は9月@インド
1人の観光客が、宿の客引きに「どうか働いてくれ」と言われたことから起こった奇跡。
格差や貧困に悩んだ14日間。
ときにラクダと天の川とお酒で過ごした14日間。
たくさんの人に出会い、温かさに触れた14日間。
■ ルパンに声をかけられた日
9月。私はインドのジャイサルメールにいた。
パキスタンにも近い、西の砂漠の街。
ここでホテルの客引きが近づいて言った。
「おれぇ、ルパン」

なんだこいつ。でも案外、声が本物と似てるじゃないか。
最初は「うちの宿に泊まってかないか」「ラクダサファリしないか」って言われてた。
でもいつの間にか「宿の集客アドバイスをくれ」となり、しまいには「うちの宿で働かないか」に変わってた。
宿のマネージャーという役を与えられた私。
いいよ。2週間くらいだからね。
(できる限り危機管理や情報収集をしての判断)
なんで働くことにしたかというと、
その宿のスタッフが人間的に良い人たちだったから。
みんな貧しい砂漠の村で生まれ育って、小学校もろくに行ってないんだけど、
自分たちの村を豊かにしたいって思いで宿を経営してたから。
真面目で努力家で、根から良い人だと思った。
その自らをルパンと名乗った男は、
インド人ながらイギリス人のごとく美しい英語を話し、異文化コミュニケーションにも長けていた。
どうやって英語そんなに勉強したのかと聞くと、
「きゃめる ゆにばーしてぃー!!」
つまり、ラクダドライバーとして外国人と接しながら、その英語を身につけたそう。
やっぱりルパンと名乗るだけあって、只者じゃなかった。

■ マネージャーの日々
私がいた宿はこれ。レギスタンホテル。上の写真の、真ん中やや右に見える建物。
ジャイサルメールから、さらに車で1時間半の小さい砂漠の村にある。
ここでは・・・
【村の子どもと遊ぶ】

びっくりしたのが、子どもが全く学校に通っていないということ。
「先生いなくなっちゃった」
誰も文字の読み書きができないまま、大人になっていくらしい。
ムンバイでは富裕層の住むタワーを見てきたから、その差に歴然とした。
子どもは世界共通で、無邪気で可愛くて大好きだ。
しかし残念なことに、彼らの5年後、10年後に期待が持てなかった。

【女の人の水汲みを手伝う】
いや、手伝いにならなかった。
重すぎて、頭が割れるかと思った。
ちなみにこの村では顔をベールを覆う女性が多い。
ルパンに聞いてみたら、「未亡人」と返ってきた。
インドの砂漠の村は、カースト制度がとても根強いそう。

夫がいなくなり、勝手に自分に悪いタグ付けられる。
どんな気持ちで毎日を過ごしているのだろう。
【遊ぶ、話す】
朝は識字教育をスタッフに施す。
メールのテンプレートをつくったり、便利な言い回しを教えたり。
昼は木陰のハンモックで昼寝する。
夕方はラクダに乗って夕日を拝む。

夜は宿泊者と話したり、スタッフとお酒を飲んで語り明かしたり。
トランプ、モノポリー、ダンスパーティ。
「また停電か」
そう言いつつも、天の川を見上げ、流れ星を数える。

そう、宿にいる間は働いていない。
ただ遊びながらも宿の状況を把握し、
それからHPを少しいじったり、旅行サイトの情報を新しいものに入れ替えたり。
だが村にはwifiが通っていないから、1時間半バスに乗って大きい街まで出たりした。
■ ベタだけど、別れのシーンを。
別れ際にルパンに言われた。
本当に君にはずっとここに居て欲しかった。
でも、アイにはアイの生活がある。将来がある。
生まれ育った世界がまったく違うことは分かっている。
その差別はとても残酷で、どうしようもないんだ。
だけど、こうやって奇跡的に出逢うことができて、同じ時間を共有した。
たまに喧嘩したけれど、それも含めて、本当に楽しかった。
君に会えて良かったよ、ほんとうに。
「ありがとう。絶対にまた戻ってくるから。」


今、この世界には約80億もの人間がいるんだけど、
大半が、生まれてから死ぬまで同じ場所に居続けるしかない人たち。
それでも私のことを大切にしてくれる彼らと出逢えたのは、私が世界一周すると決めたから。
行動を起こすことは、奇跡を起こすことなんじゃないかな。
駅へと向かうとき、悲しみに押しつぶされるというよりも、感動と感謝の気持ちで胸がいっぱいだった。
インドの寝台列車が、また私を次の街へと連れていってくれる。
その日、いつもの汚い3等席が、少し心地よいマットレスに感じられた。






